動かないところに、中心がある。——ロジャースの沈黙と、サザーランドのスティルネス
- Shigeru Nishikawa
- 18 時間前
- 読了時間: 2分

独楽(こま)を、思い浮かべてみてください。
勢いよく回っている独楽ほど、
その軸は、ぴたりと静止して見えます。
いちばん動いていないところが、
すべての動きを、支えている。
わたしは大学時代、人間性心理学の第一人者、水島恵一氏に臨床心理学を学び、その後柔道整復師として身体を学ぶ中でオステオパシーに没頭していきました。
二つの別世界を行き来するうちに、
からだも、こころも、
同じつくりをしているのではないか——
そう思わせてくれた、
ふたりの敬愛する先人と出会います。
ひとりは、カール・ロジャース。
アメリカの心理学者です。
彼は心理カウンセリングの分野で、
助言をやめ、導くことをやめました。
ただ沈黙し、
目の前の人を、そのまま受けとめた。
すると不思議なことに、
クライエントは自分の力で、変わりはじめたのです。
もうひとりは、ウィリアム・サザーランド。
オステオパシーの創始者A.T.スティルの、弟子です。
彼は手を置いて、
からだの中の深い静けさ——「スティルネス」を待ちました。
押さない。矯正しない。
ただ、動きが自然にしずまる一点に、寄り添う。
すると、その静けさの中から、
からだは自らの力で、再編成をはじめたのです。
こころの治療家と、からだの治療家。
分野も、手段もちがうふたりが、
まったく同じものを見つけていました。
治癒は「動かすこと」からは始まらない。
動かないところ——
沈黙、静止、ただ在ることの中に、中心がある。
そして、すべては、そこから始まる。
ロジャースの沈黙と、サザーランドのスティルネスは、
わたしの中では、同じひとつのものに見えます。
言葉にならない静けさを、
となりで、ただ保つこと。
その静けさが、独楽の軸のように、
その人の回復の、支点になる。
もし今、あなたの毎日が、
ぐらぐらと揺れているなら。
揺れを止めようと、しなくていいのです。
独楽は、揺れながら、回りつづけます。
軸さえ、あれば。
深い呼吸のあとの、一瞬の静けさ。
あなたの中の、動かない一点。
そこが、中心です。
そこから、始まります。
今日も、あなたの軸は、静かに立っています。



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